| 1. 開催場所: ロンドン(英国)
2. 開催期間: 2001-05-30/06-01
3. 参加国数/出席者数: 10ヵ国/28名
議長(Scott Jameson,米)
幹事(Lisa Rajchel,米)
加(2),デンマーク(2), 仏(1),独(2),アイルランド(1),日(2: 山本 泰(日本IBM),成田 博和),ニュージランド(0:英が代理),スウェーデン(2),スイス(1),英(5),米(5)
ISO(Mike Smith, Director, Standards Department), IEC(Jean-Pierre Brotons-Dias, Technical Director, 2日目から参加), ITTF(Keith Brannon)
4. 議事内容
4.1 背景
2000年11月のJTC 1トロムソ総会で,企業の直接参加の試行案(Trial New Participation Mode)を決定し,JTC 1の上位母体であるISO/IECによる承認を求めた(JTC 1トロムソ総会決議25).この試行案はWGへの企業の直接参加であり、JTC 1郵便投票で事前に承認されていたSCへの企業の直接参加からは大きく後退した提案であった.
ISO TMB(Technical Management Board)は2001年1月にJTC 1のこの提案に対して,JTC 1をICT産業界で魅力的なものにするにはイノベイティブなアプローチが必要であり,より急進的な提案であるオリジナルの提案をJTC 1で再検討し,より進んだ提案をTMBに提示することを決議した(TMB Resolution 12/2001).このTMBの決議にはJTC 1トロムソ総会決議25で求めている提案は既にITA(Industry Technical Agreement)で認められている範囲で基本的に問題はないと解釈も可能な文言が含まれていた.
2001年2月にJTC 1はTMB Resolution 12/2001に基づき,今回のロンドンでのJTC 1/Special Group on Strategic Planning(SGSP)会議を設定した.
2001年4月末に開催されたISO理事会でJTC 1をIT産業界で再位置付けする必要性を認識し,今回のロンドンでのJTC 1/Special Group on Strategic Planning会議の検討結果を受けて,ISOとIECの双方の事務局長が組織上,技術的,マーケット適応に関する徹底的な検討を行い,ISOとIECの理事会のアドホックメンバに事務局長提案を行うことを決議した.ISO/IEC理事会での最終的な承認は2002年の初めがターゲットとなっている(ISO Council Resolution 11/2001:JTC1N6430).この決議には企業の直接参加の目的はISO/IECの既存のITAあるいはIWA(International Workshop Agreement)で実現できるのではないかというIECのポジションに同意するという文言が含まれており,TMBの決議とは矛盾するとも解釈できる.
2001年2月に開催されたIEC Committee of Actionのサマリレポート(JTC1N6431)にはJTC 1トロムソ総会決議25への賛否両論が記載してあり,JTC 1に対してこれらの賛否のコメントを考慮して提案を再検討することを求めている.
前記ISO理事会の決議(JTC1N6430)とIEC Committee of Actionのサマリレポート(JTC1N6431)は今回のSGSP会議の寄書期限である5月1日を過ぎた5月中旬にJTC 1のWEBに掲載されたため後述の独,日,伊,豪の寄書は会議の直前である5月中旬以降に提出されている(豪の寄書は会議当日にJTC 1幹事から配布された).
4.2 審議経過
ISOのMike Smith(TMBの事務局も務めている)から口頭でISOでの議論の経過とISOのITAプロセスの簡単な説明が行われ,その後,今回の会議向けに提出された寄書(仏,英,米,独,日)の説明と議論が行われた.(伊及び豪の寄書は両国とも会議に不参加だったため説明はされていない.) 各国の寄書の要旨は次のとおり.
- 仏(JTC1N6410):TMB Resolution 12/2001の解釈に関るもので,TMBはWGへの企業の代表の参画を該当WGの合意のもとに認めていることを確認.
- 英(JTC1N6418):米のオリジナル提案をサポートするもので企業の直接参加の早期実現の必要性を訴えるもの.
- 米(JTC1N6419):従来の繰り返し.技術レベルの活動への企業の直接参加と"pay to play"のコンセプトの主張.
- 独(JTC1N6439):ISO Council Resolution 11/2001を根拠にIS/TR開発への企業の直接参加は許されないと解釈し,JTC 1の新たなプロダクトとしてITAの導入を検討することを主張.現状の問題点の分析と問題点の合意が先ず必要とJTC1N5959での従来の主張の繰り返し.
- 日(JTC1N6440):今回の会議から生まれるいかなる新たな提案も実行にはISO,IECの時間のかかる承認プロセスを経る必要があり,先ずはトロムソで合意し,TMBが許されている範囲といっていると解釈できるWGレベルでの直接参加を一刻も早く開始することを提案.また,口頭でTMBは各国が内容を確認しなければいけないような曖昧な決議をすべきではないとコメント.
- 伊(JTC1N6441):米国の主張を支持.
- 豪(JTC1N6444):JTC 1下にITA/IWAタイプのワークショップを組織し,企業の直接参画を可能とすることを提案.ワークショップのアウトプットはITA/IWAとして出版することもあるし,FDIS/DIS/FDTR/DTRとして投票する道もありうる.
議論は各国の寄書からもわかるように先のJTC 1トロムソ総会と同様に米・独間で意見が大きく分かれた.特にITAに関しては,コンセンサスレベルの低いITA導入に米国が断固反対の姿勢を貫き,ITAから内容を変えずにIS化する道もありうると示唆するカナダ,あるいはITA経由のIS化という考え方は必ずしも米の考え方と対立するものではないのではないかという英の仲介を退けた.議長からはISO理事会の決議に基づき,ITAプロセス・ワークショップのメカニズムをJTC 1として検討することではどうかとの提案もされたが,米はITAについては国内で詳細を議論していないので棄権すると発言したり,独はJTC 1の位置付けの議論が先と主張,加,仏も国内でITAの議論をしていないと発言するなど議論は膠着状況に陥った.
この時点でISOのSmith氏が突然,JTC 1のSCあるいはWGレベルでの企業の直接参加がISO及びIECで認められる可能性はゼロであると発言.仏,日の寄書の説明・議論時にはWGへの企業の直接参画に関する解釈を否定はしなかったのでこの発言は各国を驚かすものであった.私からはWGへの直接参加は先のTMBの決議ではもともと許されていると解釈した日本の理解は正しくないということかと再確認したがSmith氏の回答は正しくないというものであった.残されたオプションはJTC 1の既存の枠組みを離れ,JTC 1配下に別のWorkshopモードを作ることだけが直接参加が許される道となり,二日目は既存のISOの"Rules for Industrial Technical Agreement(ITA)Workshop"(JTC1N6445)をJTC 1向けに改版する検討を行うこととなった.
二日目はIECのJean-Pierre Brotons-Diasが加わったため,IECのITAの説明と状況説明,質疑が行われた後,JTC 1でのWorkshopメカニズムの議論となった.ここでも,WorkshopのOutputの扱いで米がOutputは自動的にISとして承認プロセスにかけ,WorkshopのOutput自体はJTC 1のプロダクトとは認めないと強く主張し,WorkshopのOutputもJTC 1プロダクトとして認めるべきとの各国間で決着しなかったため15時過ぎに投票となり,米の主張は退けられた(米案への賛成1,反対9,棄権1(仏)).その後,決議案を作成した.
尚,作成した決議案等のドキュメントには記されていないが,会議での共通の理解はJTC 1でのWorkshopの参加にあたっては,NBの代表も参加費等の支払いは免除されないというものであった.(本件は,WorkshopヘのNBの代表の参加は必ずしも前提にされずに議論がなされたため,私から質問した.)
三日目は決議案の修正と採択.スイス,アイルランドは三日目は帰国して欠席. 4.3 主要決議
(1) 決議1:Letter Ballot on JTC 1 Workshop Mode of Operation(棄権:仏)
JTC 1/SGSPは現状のJTC 1のSC/WGのストラクチャとプロシジャに加えて新たにJTC 1ワークショップ運営モード(JTC 1 Workshop Mode of Operation)を追加することを推奨する.この新運営モード案はJTC1N6446(Rules for ISO/IEC JTC 1 Workshop Mode of Operation)に示されている.JTC 1/SGSPはN6446をJTC 1の60日投票にかけることをJTC 1 Secretariatに要求する.
新運営モード案はISO及びIECのITA規則と類似,互換があり,JTC1N6446は出版に向けて準備中のISOのITA Procedure(JTC1N6445)に基づいている.
(筆者注)
ITAは産業界の代表からなるグル−プにより開発されるがISOとIECでは以下の相違点がある(JTC1N6445およびN6448参照).
- ISO:
- ワークショップの事務局サポートはISOのメンバボディが務める.ワークショップの設置の承認はTMBが行う.ITAの作成には現行Directivesを用いる(国際規格に準じた様式を使用する).IPRはISO/IECのIPRポリシ-にしたがう.
- IEC:
- ワークショップの事務局はIEC中央事務局が務めるワークショップの設置の承認はIEC中央事務局が行う.ITAの作成には様式を含めDirectivesを適用しない.IECはITAのIPRについて何の要求もしない(ワークショップ参加者に任されている).
ITAの扱いにISOとIEC間に相違があるようにJTC 1のITAでもアウトプットの扱いを含めてJTC 1の目的に適うようにJTC 1で決定できる余地があると考えられる.
(2) 決議2:Ballot Resolution Meeting (棄権:仏)
2001-09-05/07にN 6446(Rules for ISO/IEC JTC 1 Workshop Mode of Operation)の郵便投票結果を受けてBallot Resolution Meetingを開催する.ホストはカナダの予定.Ballot Resolution Meetingで改版されたJTC1N6446とコメントの処理結果を2001年9月,10月に開催予定のISOとIECのマネージメント会議での検討に向けて,ISOとIECに送付する.
5. 今後の予定
・JTC1N6446のJTC 1の60日投票開始 2001-06-04
・Ballot Resolution Meeting
2001-09-05/07 トロント(加)
6. 所感
今回の結論はとてもRadicalなものとは言えないと思うが,先のISO TMBの曖昧な決議とその後のISO理事会のTMB決議とは矛盾するとも解釈できる決議を受けて,JTC 1各国は無責任なTMBとISO理事会に振り回されたというのが私の偽らざる感想である.
本会議でのISOのSmith氏のSCあるいはWGレベルでの企業の直接参加がISO及びIECで認められる可能性はゼロであるとの発言には納得はしないが,そのおかげで会議が決裂せずにすんだという側面もあったと感じている.
TMBは誤解を招かないような決議をするべきであるとの私のコメントには米もオフラインで日本と同感であると言っていた.Smith氏は決議は明確であると主張したが,仏,日,豪の3カ国がその寄書で同様な(Smith氏によるところの)誤解をした事実がある.
JTC 1 Workshop Mode of Operationの承認に向けてはJTC 1だけでなくその上部団体であるISO/IECの合意が必要であるがISO/IECシステムが情報技術分野で有用であるためにはJTC 1のみならず上部団体であるISO/IECの改革も必須との感を強くした.
JTC 1 Workshop Mode of Operationについて,今後,検討すべき事項としては,既存のJTC 1下のSCの活動の関係の明確化があると考える.
特に既存のSCのスコープと重複するWorkshopが提案された場合等が問題になるのではないか? こうしたことを考えると,Smith氏は可能性を否定したが,JTC 1トロムソ総会で合意したWGレベルでの直接参加もJTC 1 Workshop Mode of Operationと併行して採用すべきではないかと個人的には感じている.
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