マルチメディア/ハイパーメディア文書の交換形式の符号化
は含まない.
対応する国際組織は,JTC 1/SC 24(Computer graphics and image processing)であり,その下にWG 6(マルチメディアによるプレゼンテーションと交換),WG 7(画像の処理と交換,登録),WG 8(環境表現)が置かれている.国内では,SC 24専門委員会の下にWG 6小委員会,WG 7/画像処理 小委員会,WG 7/レジストレーション小委員会を設けている.国際のWG 8に対応する小委員会は設置せず,専門委員会で直接対応している.
2002年度に開催された国際会議及び参加の状況は,次の通りである.
2002-04 WG 8会議(日本からは1名参加)
2002-06 SC 24総会及び各WG会議(日本からは2名参加)
2002-12 WG 8会議(日本からは1名参加)
2002年度の主な動きとしては,NP投票 5件(賛成),CD投票 2件(条件付き反対),FDIS投票 1件(賛成),FDAM投票 1件(賛成)がある(カッコ内は日本の投票内容).
国際委員会では,BSIから出ているセクレタリの交代があった.
日本からのPHIGS Fortran bindingのアメンドメントのエディタであるの笠井悟志(富士通静岡エンジニアリング)は,プロジェクトの終了によって2002年6月の総会をもって退任となった.
2. 主なプロジェクトの進捗状況
2.1 WG 6小委員会関連
VRML97のパート1(ISO/IEC 14772-1)のアメンドメント“Interoperability Enhancement”が,2002年10月締切のFDIS投票で承認された.このアメンドメントには,地理空間に対応した座標系(例えば経緯度座標)を導入するなどの地理情報機能拡張,CAD業界の要望に対応するための曲面(Trimmed Non-Uniform Rational B-Spline)機能拡張等が含まれている.
VRML97のパート2として,External Authoring Interface(EAI)と呼ばれるJavaによるVRMLシーンのウェブブラウザ側からのインタフェース仕様が,2002年6月締切のFDIS投票で承認された.
VRML97の後継規格であるX3Dの作業開始が,2002年10月のNP投票で承認された.X3Dは,VRML97に対する下位互換性を保ちつつ,
- 軽量な3次元コア・エンジンをもたらすコンポーネント化,
- アプリケーションに応じて必要な機能だけを柔軟に選択できるプロファイル機能,
- VRML符号に加えてXML符号の導入によるウェブ上での3次元データの共通化
などの特長をもつ.現在X3Dは,Web3Dコンソーシアムでの作業結果に基づき,機能仕様及びAPI仕様(FCD 19775-1/2,2003年5月6日締切)並びにXML符号化及びVRML符号化(FCD 19776-1/2,2003年6月締切)の審議中である.
VRML97及びX3Dと連動して使われるヒューマノイドのアニメーション記述方式であるH-animは,2002年10月のNP投票で承認され,Web3Dコンソーシアムの中のHumanoid Animation Working Groupでの作業待ちである.ここでいうヒューマノイドとは一般に3次元多関節物体(たとえば人間,蜘蛛,ロボットなど)を表すものであり,H-animでは,このような多関節物体の動作を統一的に制御し,実行できる仕組みを提供するための仕様が提供される.
World Wide Webコンソーシアム(W3C)が提案した,人工画像に適した画像交換形式PNG(Portable Network Graphics)は,2001年5月締切りのFDIS投票で承認されたが出版が遅れていた.これについて,2002年6月のSC 24総会で日本が質問したところ,W3C 側で技術上の変更を伴わずに記述を改良すべきであるとの結論が出てエディタが対応作業中であることが判明し,SC 24議長が督促することになった.12月に再度日本が照会をしたのをきっかけに,編集上の改良を施した文書が2003年2月に第2次FDIS投票にかけられている(4月締切).
2.2 WG 7/画像処理小委員会関連
画像の処理および交換(Image Processing and Interchange, ISO/IEC 12087 series)プロジェクトは,数年前から予告されていた応用プロファイルの承認も済み,開発が一段落した.
米国から画像交換に関する新規プロジェクトの提案がなされているが,日本はその妥当性に疑問を持ち,否定的コメントを提出している.ところが,新規プロジェクトの提案者でもある米国出身のWG 7コンビーナ代行は,この日本コメントへの対応を行わないばかりか,総会への無断欠席,予定された会議の不招集といった責任放棄を続けているので,日本は次の総会において,米国の責任を追及し,その結果によっては解散もやむをえないと考えている.
2.3 WG 7/レジストレーション小委員会関連
前項で述べたように,WG 7コンビーナ代行の怠慢により,国際のWG 7内での活動は停止しているが,次の項で述べるSEDRISプロジェクトの方で,レジストレーション機能の拡充が必要とされ,改訂についての議論がなされているので,国際的にはWG 8に移管される可能性が高い.
2.4 専門委員会直轄プロジェクト
国際のWG 8で作業が進められているSEDRIS(Synthetic Environment Data Representation and Interchange Specification)は,飛行訓練などの地理座標依存情報を用いたシミュレーションの入力及び出力データの交換や表示を共通化する標準化である.具体的には,基本となるデータクラスを規定するSEDRIS 本体,地球空間(及び宇宙空間)用の各種座標系を扱う空間参照モデル(SRM),環境シミュレーション関係のオブジェクト及び属性のコード化(EDCS)の3本の柱から成り,それぞれに,データ交換と応用プログラムインタフェース(API)の規格と言語結合の規格が含まれている.現在,SEDRISパート1はCD投票中(CD 18024-1),EDCS(18025)とそのC言語結合(18041-4)は,FCD投票中,SRM(18026)はCD文書作成中である.
本来,SEDRISプロジェクトは,米国及びヨーロッパの国防関係の諸機関が参加するSEDRISコンソーシアムの成果を,これまでのグラフィクス規格との整合性をとりながら,国際標準にしようというものであるが,国際規格とする上で解決すべき問題も沢山残っていた.たとえば,オブジェクト及び属性のコード化(EDCS)に関して,日本はこれまで,宗教的施設区分には神社・仏閣が,農業用土地利用区分には水田がそれぞれ必要といった日本の自然文化環境への適応の問題に関するコメントはもちろんのこと,SI(国際単位系)との整合性といった一般的問題についての技術的具体的コメント,そして教育・娯楽分野への拡張に関するコメントを提出しなければならなかった.
このように当初の期待よりは多くの作業が必要となっているが,日本としても今後発展の期待される地理情報利用シミュレーションにおける情報共有を進めるために不可欠の基礎作業と考えられるので,今後も,ISO/TC 211(地理情報)の国内審議団体との情報交換などに配慮を払いつつ,SC 24専門委員会としての取り組みを続けていく所存である.