1. 概要
ISO/IECのTCが国際標準を開発するとき参照する手順書はDirectivesと呼ばれ,Part 1からPart 3まである.このうちPart 1は開発作業の詳細な手順を規定しているが,JTC 1だけが参照するDirectives(ISO/IEC Directives Procedures for the technical work of ISO/IEC JTC 1 on Information Technology:以下JTC 1 Directives Part1と略記)とJTC 1以外のTCが参照するDirectives(ISO/IEC Directives Part 1: Procedures for the technical work:以下ISO/IEC Directives Part1と略記)の2種類がある.(なお,Part 2とPart 3は1種類しかない.)
ISO/IEC Directives Part 1(最新版は第3版)とのHarmonization(調和)を目指して始まったJTC 1 Directives Part 1(第3版)の見直しは1998年6月に開催されたJTC 1の仙台総会で改定案が承認され,第4版として発行された.ここでは,第3版から第4版への主な変更点と国際標準の開発に携わる委員の方に利用していただけるような第4版の投票に関する項目を中心に纏めてみた.
2. 第3版からの主な変更点
(1) 開発段階
ISO/IEC Directives Part 1(第3版)では開発段階を次の6段階に分けているが,これはJTC1の5段階より細かな分け方となっている.ここでは説明に便利なので6段階の分け方をもとに説明を進める.なお,JTC 1 Directives Part 1(第4版)では記述の上で照会段階という表現はどこにも見当たらないが,12.6.1.2のNOTEよりFCD(Final CD)を照会段階に対応する文書と考えることができる.
提案段階 (Proposal stage)
作成段階 (Preparatory stage)
委員会段階 (Committee Draft stage)
照会段階 (Enquiry stage)
承認段階 (Approval stage)
発行段階 (Publication stage)
JTC 1 Directives Part 1(第3版)では照会段階と承認段階がDISという文書で投票にかけられるが,JTC 1 Directives Part 1(第4版)では照会段階がFCD,承認段階がFDISという文書で投票にかけられることになった.これらのことを纏めたのが表−1である.
この変更により,JTC 1 Directives Part 1の第3版と第4版では照会段階と承認段階での投票に大きな違いが生じた.JTC 1 Directives Part 1の第3版では照会段階と承認段階の両方に対応する文書であるDISの審議がITTF(Information Technology Task Force)事務局としてNB(National Body)による4ヵ月の郵便投票が行われた.また,投票に際しては,編集上や技術的コメントを提出することも可能であり,条件付反対という投票も可能であった.しかしながらJTC 1 Directives Part 1第4版では,照会段階で審議する文書をFCDと呼び,SCのSecretariatが事務局となって,SCのPメンバによる4ヶ月の郵便投票が行われる.そして,この段階が編集上や技術的コメントを提出できる最後の段階となった.もちろん,この段階では条件付反対という投票も可能である.承認段階はFDISと命名された審議文書がITTFを事務局としてNBによる2ヵ月の郵便投票が行われるが,これは,賛成/反対/棄権のいずれかの意思表示をするだけで,編集上や技術的コメントは受け付けられない.ただし,反対の場合はその理由を述べることができるが,それは,せいぜい将来,改定が行われるときに参考とされるだけで,FDISを改定させる効力 はもたない.
表-1 JTC 1 Directives Part 1: 第3版と第4版の開発段階の比較
| 開発段階 |
第4版 |
第3版 |
| 提 案 |
NP (3ヵ月) |
NP (3ヵ月) |
| 作 成 |
WD |
WD |
| 委員会 |
CD (3-6ヵ月) |
CD (3-6ヵ月) |
| 照 会 |
FCD (4-6ヵ月) |
DIS (4ヵ月) |
| 承 認 |
FDIS (2ヵ月) |
|
| 発 行 |
IS |
IS |
括弧内:投票期間
(2) 投票期間
JTC 1 Directives Part 1(第3版)では,DIS投票を除いて,郵便による投票を行う場合は郵送期間として14日間を考慮していたが,JTC 1 Directives Part 1(第4版)では,審議文書をWebサーバからダウンロードするのが原則となり,郵便投票の場合もこの14日間が削除された.
(3) TR(Technical Report)に関するFast-track
タイプ3のTRに関してはFast-track手続きを適用することが可能となった.
3. 投票関連項目の要約
国際標準が開発されるまでには何段階にもわたって投票が行われるが,それぞれの投票は投票権の保有者,投票期間,承認基準などに違いがあり,また,委員の方からのDirectivesに関する質問も投票に関するものが最も多いことから,投票に関連する項目を表−2 (注:その後改訂 表−2rev) に纏めたので参考としていただきたい.
情報処理学会 情報規格調査会 NEWSLETTER No.40 (1998-12) より
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