SC 6専門委員会(通信とシステム間の情報交換/Telecommunications and Information Exchange Between Systems)

NEWSLETTER No.102別冊 2014年7月号

委員長 山下 博之(独立行政法人情報処理推進機構)

1. 概要

SC 6は,汎用計算機/ワークステーション/パソコンなどの情報処理装置,情報通信家電やICカード互換通信機器,マルチメディア情報機器を含むシステム相互間の各種情報転送に必要となる下位層及び上位層の通信プロトコルの標準化を担当している.ニーズにあった規格をタイムリーに標準化するため,ITU-T,IEEE,Ecma,IETF等とリエゾンをとりながら活動を進めている.

2013年度には,我が国発でEcma経由のFast-Track手続きに基づくNFCIP(Near Field Communication Interface and Protocol)関連の投票が行われた.また,NFC ForumとのカテゴリCのリエゾン,ISO/IEEE Partner Standards Development Organization (PSDO) Cooperation Agreementに基づくIEEEからのLAN関連のFDIS投票等も行われた.さらに,無線LAN関連全般,無線電力伝送等の通信プロトコル,ユビキタス・センサ・ネットワーク,将来網,マネージドP2P,デバイス制御と管理,ディレクトリ,ASN.1等の規格に関する活動も行った.

なお,2013年度に出版された規格は,ISが14件,TRが4件,CORが2件,AMDが3件であった.また,投票については,FDIS/FDAM投票18件,DIS/DAM投票2件,DTR投票3件,FCD投票3件,CD投票5件,PDTR投票2件,NP投票3件であった.

2. 主なプロジェクトの進行状況

2.1 WG 1(物理層およびデータリンク層)

a) NFC関係案件

1) ISO/IEC DIS 13157-1(NFC-SEC:NFCIP-1セキュリティサービス及びプロトコル)への賛成投票.技術内容はISO/IEC 18092の改正内容との調和であり,日本企業からの貢献の大きい案件である.

2) ISO/IEC DIS 19369(NFCIP-2試験方法読み方指針)への反対投票.NFCIP-2本体では規定していない技術を試験規格で追加しているところが問題である.活発な海外NB担当者と意見交換したところ問題を共有できたが,ドイツが賛成票を入れたことから本件は承認扱いになってしまった.

b) IEEEからのPSDO案件

本格的にPSDO手続きが行使され始めた.SC6国内委員会は,対応を試行錯誤中である.さしあたり,当該案件をIEEEがJTC 1へfast-trackで提案してよいかを問うCIBなので,DIS投票同等と見做して下記の三つについて,技術委員会へ附議する試みを行った.補遺1及び2を前提とする三つ目の補遺がJTC1の規則に合わないため,そのことをコメントして賛成としているが,けっして問題の解決にならないことは自明である.

1) IEEE 802.11ae(無線LAN媒体アクセス制御(MAC)及び物理層仕様;補遺1:管理フレームの優先順位付けでIEEE Std 802.11ae(tm)-2012 (IEEE Std 802.11(tm)-2012への補遺))

2) IEEE Std 802.11aa(tm)-2012(無線LAN媒体アクセス制御(MAC)及び物理層仕様;補遺2:堅牢なオーディオビデオストリーミングのためのMAC強化;IEEE Std 802.11ae(tm)-2012補遺を適用後のIEEE Std 802.11(tm)-2012への補遺)

3) IEEE 802.11ad(無線LAN媒体アクセス制御(MAC)及び物理層仕様;補遺3:60GHz帯超高処理能力のための機能強化;二つの補遺「IEEE Std 802.11ae(tm)-2012及びIEEE Std 802.11aa?-2012」を適用したIEEE Std 802.11(tm)-2012への三つ目の補遺;IEEE Std 802.11(tm)-2012への「60GHz帯超高処理能力のための機能強化」仕様追加)さらに,下記のローカル及びメトロポリタンエリアネットワーク仕様についてのIEEEからJTC1へのPSDOによるfast-track FDIS/FDAM案件には賛成票を投じた.IEEEからJTC1へのPSDO手続きによる案件対応は,試行錯誤中である.これに関しては,下記案件に関係するIEEEの標準化活動参加者からSC6国内専門委員会への情報が無いという問題がある.過渡期の猶予を鑑みて,いわゆる無線LANは日本国内で使われているという理解レベルで下記4~12の案件に対し賛成とした.

4) ISO/IEC FDIS 8802-1AE(第1AE部:媒体アクセス制御層セキュリティ)

5) ISO/IEC FDIS 8802-1X(第1X部:ポートに基づくネットワークアクセス制御)

6) ISO/IEC/IEEE FDIS 8802-1AB(第1AB部:ステーションと媒体アクセス制御との接続性探査)

7) ISO/IEC/IEEE FDIS 8802-1AR(第1AR部:セキュアデバイス識別)

8) ISO/IEC/IEEE FDIS 8802-1AS(第1AS部:ブリッジしているローカルエリアネットワークでの時間に厳密な応用のためのタイミング及び同期)

9) ISO/IEC 8802-11 FDAM1(第11部:無線LANのMAC,PHYの仕様;補遺1:管理フレーム優先順位付け)

10) ISO/IEC 8802-11 FDAM2(第11部:無線LANのMAC,PHYの仕様;補遺2:堅牢なオーディオビデオストリーミングのためのMAC強化)

11) ISO/IEC 8802-11 FDAM2(第11部:無線LANのMAC,PHYの仕様;補遺3:60GHz帯超高処理能力のための機能強化)

12) ISO/IEC/IEEE FDIS 8802-3(第3部:CSMA/CDアクセスメソッド及び物理層仕様)

c) その他の投票案件

1) 韓国NP提案「ALAN(音響ローカルエリアネットワーク)及び拡張ALANのための物理層及び媒体アクセス制御副層プロトコル」について,国内では使用されないとみられることから賛成投票したが,内容には疑問が残るものが多く,今後の監視が必要である.

2) 韓国提案ISO/IEC DIS 29157 ed 2(ISMバンドを用いる低伝送速度応用の短い距離の無線PHY/MAC仕様)について,巡回冗長検査の要件が不十分なため,互換性を確保できない恐れがあるとして反対で投票.

3) 韓国提案ISO/IEC DIS 24771(産業上の利用環境においてQoSを備えたアドホック無線ネットワークに関するMAC/PHY標準)について,(1)5.15~5.35GHzをISM帯としている誤りがあること,及び(2)5.8GHzを追加したのにそのPHYタイミングパラメータの規定が欠落していることを理由にして反対で投票.

2.2 WG 7(ネットワーク層およびトランスポート層)

WG 7は,国内では関心が薄くなり,リソースがないために対応する小委員会を構成できなくなり,2013年度よりSC 6専門委員会として対応している.

ユビキタス・センサ・ネットワーク,将来網(Future Network),マネージドP2P,デバイス制御と管理等について,日本は国内での利用が現時点では不明であること,対応するリソースが無いことから棄権投票を行った.

2.3 WG 10(ディレクトリ,ASN.1及び登録)

国際では,従来のWG 8(ディレクトリ)及びWG 9(ASN.1及び登録)がWG 10に統合された.国内ではこれらのテーマへの関心が薄くリソースがないために対応する小委員会が構成できず,2012年度よりSC 6専門委員会として対応している.

a) ディレクトリ

ディレクトリに関し,これまでに議論してきた2012年版について9件のFDIS投票が行われ,特に問題はないとして全て賛成投票した.

b) ASN.1及び登録

ASN.1に関し,ITU-Tとの共同検討の結果7件のDCOR投票が行われ,特に問題なく,全て賛成投票した.

3. その他

規格調査会における賛助会員の委員会活動への参加基準見直しに伴い,SC 6専門委員会(傘下の小委員会を含む)への参加委員数が相当数減少した.また,国内で関心のある標準化項目がほとんど無くなったため,2013年度への国際会合への参加は無かった.

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