SC 24(Computer Graphics, image processing and environmental data representation/コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現)総会報告

NEWSLETTER No.100 2013年12月号

SC 24専門委員会
委員長 青野 雅樹(豊橋技術科学大学)

1. 開催場所:シドニー(オーストラリア)

2. 開催期間:2013-08-30

3. 参加国数/出席者数:6 ヵ国/28名

議長(Ha-Jine Kimn,韓国),セクレタリ(Charles Whitlock,英国),米国(3),英国(2),韓国(9),中国(1),オーストラリア(4),日本(2: 青野雅樹[HoD],蔵田武志[産総研])

WebEX参加: 英国(1),SEDRIS(2),DGIWG(1),Web3D Consortium(1)

4.特記事項

4.1 WG 6(拡張現実世界によるプレゼンテーションと交換)

WG 6のワーキンググループ会議は8月27日(火)の午前9時ごろから,またPlenaryは29日の午前に行われた.のべ19名の参加者があり,ワーキンググループの参加者の内訳は,コンビーナ,英(1),韓(8),中(1),豪(1),米(2),TC211(1),日(2)の合計17名であった.韓国からの参加者と発表がとびぬけて多かった.

会議に先立ち,議長(WG 6コンビーナのDick Puk氏)から,コンビーナレポートの説明があった.WG 6で現在もっとも活動がアクティブなX3Dに関する規格の最新状況のほか,ISO/IEC 19775-1(X3D(拡張3次元記述):アーキテクチャ)の第3版のFDIS投票が会議後しばらくしてあるので,投票よろしくとの報告であった.次に,最近のWeb3Dコンソーシアム関係のプロジェクトとして,HTML5とX3Dom (http://www.web3d.org/x3d/x3dom/)の活発な活動の紹介があった.日本からのレポートとしては青野から,X3Dの企業側の認知度が他国に比べて低いこと,ISO/PAS 17506:2012のCollada(Khronosグループ(http://www.khronos.org/)から出たISO公開文書)や,コンビーナから報告のあったWebGL(JavaScriptによりブラウザからOpenGLを呼び出して3Dで表現できる機能,現在はFirefoxやGoogle Chromeなどで使えるがIEは未対応)のほうが,CG関係の学会やホームページでのデモ等で,最近よく利用されている旨を報告した.コンビーナからはさらに,最近の傾向として,WG 9の機能である拡張現実,仮想現実などを考慮したX3D機能拡張の話題,haptic device(触角装置)に関して仮想空間の手術シミュレーションなどで取り入れられる方向に進みつつある,等の報告があった.さらに,Web3D Conferenceの座長も担当しているとのことで,今年のスペインで行われたWeb3D国際会議の様子,特に,ビッグデータの可視化(たとえボーイング777の全モデル)における高速描画手法が流行である,との最新技術動向の報告があった.

ワーキングセッションの発表としては以下のものがあった.

  • (1)Gun Lee, "ARC function extension in X3D" (HIT Lab, NZ)
  • (2)M. W. Lee, "X3D Physical sensors"(Suwon Univ.)(昨年NP投票で可決されたISO/IEC 18521-2内容の続報)
  • (3)Kung-Hee Yoo, "X3D Real characters" (Chungbuk National Univ.)(昨年NP投票で可決されたISO/IEC 18521-3内容の続報)
  • (4)Gerald Kim, "MAR Sensor Nodes"(Korea University)
  • (5)Jung-Ju Choi, "Extending Facial Animation in H-Anim"(Ajou University)
  • (6)Hyokwang Lee, "CAD3X3D Conversion" (Korea Atomic Energy Institute)
  • (7)Kwan-Hee Yoo, "H-Anim Hands and Feet Animation"(Chungbuk National Univ.)

「X3Dの符号化」に関しては,コンビーナから,新しいバイナリ符号化としてW3CのEXI圧縮方式が検討されている,との報告があった.総じてWG 6はWG 9とともに,非常にアクティブに活動が継続されている印象であった.Plenaryは8月29日(木)の午前9時から行われ,WebEXを通して,Web3DコンソーシアムのDon Brutzmanも参加した.

4.2 WG 7(画像の処理と交換,登録)

8月26日のWorking Sessionには,参加できなかったが,8月28日(水)午前のPlenaryには参加し,以下のようなRecommendationが採択された.まず,昨年のBrussels会議で報告された画像処理のオープンソフトウェアであるOpenCVのStudy Groupに関する詳細のプレゼンがコンビーナのY. Chung氏(Study Groupのラポータを兼任)からあった.なお,OpenCVは,Lesser GPLライセンスであるが,一部の機能(SIFTとSURFの2種類の画像特徴量)が特許になっているとの注記があった.また,リエーゾンを継続,または開始予定であることが報告された.

(1)ISO SCIT(Steering Committee on Imaging Technology),(2)TC 211/WG 6(Geographic Information/Imaging and Gridded Data),(3)SC 29/WG 1 JPEG2000,(4)NATO JCGISR,(5)NITFS Technical Board,(6)OMG Robotics DTF(Image processing standards for intelligent robots)である.総じて,WG 7は継続,あるいはStudy Groupとしての報告はあるものの文書化に関するアクティビティはこの2年間なく沈滞気味である,という印象であった.

4.3 WG 8(環境表現)

WG8の会議は日本からは,WG 7同様,8月28日(水)午後13:30からのPlenaryだけ参加した.コンビーナのJack Cogman(英)はWebEXで遠隔地から参加した.SEDRISからの代表であるFarid Mamaghani氏とEditorのPaul Berner氏もWebEXで参加した.Acting convenerはオーストラリアのPeter Ryan氏が行い,acting editorはWG 6のコンビーナでもあるDick Puk氏が行っていた.その後,WG 8での規格であるSRM(Space Reference Model)ならびにEDCS (Environmental Data Coding Specification)に関する最新の状況の説明があった.また,9973のEdition3のRevision,18025 EDCS(Revision to Edition 2),18026 SRM(Revision to Edition 3)が現在進行中のプロジェクトである.WG 8では,文書化で進行しているプロジェクトがあるものの,SEDRIS等の経済的な支援が最近ないようで,そのため文書化のほとんどが,Puk氏いわく,一時中断状態であるとのことだった.PlenaryではETRIのSang-Woo GhymeからSketch-based Terrain Modelingに関してスライドを使った報告があった.これは,RBF(ガウスカーネル)モデルを使った手法で,データ圧縮ができる点に利点があるという報告であった.ただし,報告者の組織での予算の目途が立たないそうで,今後,NPになるかどうかは現時点では不透明とのことであった.なお,10月16日にEDCSの投票があることのremindがあった.全体としては,WG 7よりは多少はアクティビティがあるものの,予算次第,というプロジェクトが目立った.なお,HoD/C会議で議長のKim氏からJTC 1レポートにあった,ビジネスプランの中での「ビッグデータ」や「次世代の解析」技術で,「環境スキャン」が期待されていることから,予算さえつけば,復活,あるいは再び興隆する可能性が感じられた.

4.4 WG 9(拡張現実世界の概念と参照モデル)

WG 9は,昨年8月のBrussels会議で最初のWG 9会議が開催され,SC 24総会でのWG 9会議は今年で2回目であった.昨年は,Augmented Reality Continuum (ARC)に関するレファレンスモデルを,参加した委員で共有することが主眼であった.その後,昨年度はNP投票が3件あり,これらがPメンバー5か国以上の同意で可決されたという経緯があった(日本のNP投票はレファレンスモデルに賛成,他の2つはレファレンスモデルとの関連が不明であり反対した経緯をもつ).一方,今年のSydney会議では,8月26日のワーキングセッションにおいて,まず,コンビーナのGerald Kim氏から,これまでのARC という言葉が,SC 29/WG 11との調整の後,MARC(Mixed and Augmented Reality Continuum)という名前に変更を予定しているという報告があった.これは比較的大きな変更で,すべての規格の名称に影響を及ぼすため,JTC 1での承認が必要であろう,とのことであった.同時にこの変更のきっかけとなったのが,昨年11月のJejuでのJTC 1総会において,SC 29/WG 11と拡張現実モデルに関してJAhG(Joint Ad hoc Group)を結成して,協調していくべき,とのJTC 1決議に伴うものである,との報告があった.その後,時間をかけて,JAhGのもとで,新しい拡張現実(および混合現実)の規格を考案したときに,どのような手続きで今後進めるべきかの,白熱した議論が行われた.日本からの適正なプロトコルを決めて行うべき,との意見が受け入れられ,シンプルではあるがプロトコルのたたき台が議論された.その内容は,SC 24で提案する規格はSC 24が管理,SC 29が提案する規格はSC 29が管理,JAhGで提案する規格は,JAhGでエディタを含む責任者を出して規格を進めてはどうか,というものとなり,プロトコルの要約を文書でコンビーナがまとめ,Plenaryで議論するという形となった.

一方,ワーキングセッションでは,新たなNP候補として日本の蔵田氏から昨年に続く「MARCのベンチマーキングモデルに関する規格」の説明があり,コンビーナから,是非,NPの準備を進めてほしい,との推奨があった.この他,コンビーナから,MARCのAPIの新規NP候補案,ならびに韓国の代表者S. Ghyme氏から「デジタルホログラフに関するMARCの新しい規格候補」に関して報告があった.こちらは,NPへはまだ時間がかかりそうだ,との感触があった.

8月28日の午後4時からPlenaryが行われた.PlenaryにはStandards AustraliaのSC 29の代表者も参加していた.Programme of Workとして,昨年度提案された3つのNP(18531-1,18521-2,18521-3)に関するレビューが行われた.この中で,日本からワーキングセッションで質問していた,パート3の"Real characterとは何か明確にすべき"という意見に関して,"living objects"を想定しており,人間だけでなく,魚や動物などを含む「生きているもの」を対象とする,との回答が,該当規格案を提案したMr. Yoo氏からあった.これらの規格のCDは来年の1月ごろまでに準備するとの報告があった.なお,SC 29/WG 11とのJWG(Joint Working Group)に関して,コンビーナからプロトコルの提示があったが,Standards AustraliaのSC 29/WG 11からの幾つかの修正案の指摘があり,今後さらに調整を要するとの印象を受けた.

4.5 HoD (Head of Delegation)and Liaison Meeting

HoD/C会議は,8月27日(火)の午後と,29日(木)の午後に行われた.参加者は各国のHoD,各WGのコンビーナ,ならびに各種リエーゾン担当者,SC議長,およびSC 24セクレである.27日のHoD/C会議では,Drafting Committeeの任命と,議長であるKim氏から,1992年以降のSC 24の歴史をJTC1 N10729文書を使いながらの説明があった.

29日に行われた2回目のHoD/C会議の内容は以下のようであった.Chairmanからのレポートとして,昨年のJejuで行われたJTC 1会議のフィードバックがあった.その中でJTC1 N11428に従い,New Work Item Proposal formが変更になったとの報告があった.また,今回もWebEXでの会議の形態をとっていたが,JTC1 N11429/ Resolution 11に従いWeb 会議が推奨されているとの報告があった.同様に,JTC1 N11429/ Resolution 22に従い,「環境スキャン」(Environmental Scan)関連でSC 24はビッグデータならびにNext Generation Analysis分野での新技術のポテンシャルがあると報告された.さらに,JTC1 N11429/ Resolution 34において,SC24/WG 9とSC29/WG 11は拡張現実の分野において協力し,ARRM(Augmented Reality Reference Model)の作業を進めること,ならびにJAhgを形成して,規格を話し合うグループを構成することが報告された.その後,SC 24/N 3509に基づき,SWG-BP(Business Plan)に関して,問題ないかどうかの議論が行われた.なお,ビジネスプランは9月末ごろまでにJTC 1に提出する予定である.

4.6 SC 24 Plenary meeting

会議全体では28名程度の参加者で,昨年と同じ6か国(韓,米,豪,中,日,米)のP-memberからの参加があったことが議長のキム氏から報告された.30日の午前9時半からSC 24 Plenaryが行われた.SC 24 Plenaryでは,オンラインでの参加のJack Cogman, Farid Mamaghani氏ら3名のSEDRISの参加者を含め22名の参加者であった.SC 24 Plenaryでは,議長からの報告,セクレからの報告,WGコンビーナからの報告,リエーゾンからの報告,SWGからのビジネスレポートの説明,ならびにNational Bodyからの報告があった.SC 24の現在のアクティブな文書化(CD以上)ではWG 8から3つ,WG 6から5つあることが報告された.幾つかの代表的な報告は以下のとおりである.

TC 211からのリエーゾンレポートでは,W3Cではすでに標準化されているOWLに関して,ISO 19150でオントロジー(OWL)による地理情報の標準化が進んでいる話など,かなり興味深い報告があった.NATO NIAGグループからはBIIF規格,JPEG2000規格,DGIWG,GMLなどの関連する規格の説明がある.KMLとの関係を聞いたところ,GMLにはGMLにしかない機能(アノテーション)などがあるとのことであった.Web3Dコンソーシアムからのリエーゾンレポートでは,規格が肥大化し複雑化していく過程で,幾つかの特許技術が入ってきている状況で,IPR (Intellectual Property Rights)の問題の指摘があり,規格はroyalty-freeポリシーを取るべき,との報告があった.また,Khronosグループから出たCollada(ISO/PAS 17506:2012)が競合するISO規格として出てきたことに危機感があるとのことであった.DICOMとのリエーゾンに関しては,Dick Puk氏から,9月に会議があること,また,医療分野でボリュームレンダリングの機能が重要で,DICOMを通しての,巨大な医療用データや,これを処理する仕組みが最新のX3Dに含まれているとの報告があった.National Body reportではChinaからCESI(China Electronics Standardization Institute)のアクティビティと,中国政府からモバイルARに関する研究と応用に対して支援しているとの報告があった.

5. 今後の開催予定

2014年は,8月に米国西海岸を第一候補としての開催を予定している.開催都市や開催時期は未定であるが,San DiegoとSeattleが候補地に含まれている.

6. その他

米国から(ほぼ毎年)参加され,Kim氏の前任のSC 24のChairmanを務めたLaura Moore氏が今年限りで引退するとの報告があった.

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