SC 24(Computer Graphics, image processing and environmental data representation/コンピュータグラフィクス,画像処理及び環境データ表現)総会報告

NEWSLETTER No.104 2014年12月号

SC 24専門委員会
委員長 青野 雅樹(豊橋技術科学大学)

1. 開催場所

シアトル(米国)

2. 開催期間

2014年8月18日~22日

3. 参加国数/出席者数

議長(Ha-Jine Kimn,韓国),セクレタリ(Charles Whitlock,英国),米(6),英国(2),韓国(9),中国(1),豪州(2),日本(2: 青野雅樹[HoD],蔵田武志[産総研]),Web3D Consortium (1),Khronos (1)

WebEX参加: 英国(1),米国(1)

4.特記事項

4.1 WG 6(拡張現実世界によるプレゼンテーションと交換)

WG 6のワーキンググループ会議は8月19日(火)の午前8時30分から12時までと13時30分から16時まで行われた.またPlenaryは20日の午前に行われた.日本からは1名(青野)だけ参加した.JTC 1 chairのKaren Higginbottom氏もPlenaryだけ参加された.

ワーキンググループ会議では,議長(WG 6コンビーナのDick Puk氏)から,コンビーナレポートの説明があり,アジェンダの確認があった.次に,X3D(ISO/IEC 19775,19776,19777)の現状報告があった.また,Web3Dコンソーシアム代表として参加されたDon Brutzman氏からは,X3Dバージョン3.4の活動状況,昨年も紹介のあったX3DOM(http://www.web3d.org/x3d/x3dom/)というDOMモデルの話題,プラグインなしでCADモデルをブラウザ上に表示できる事例がデモつきで紹介された.バイナリ符号化に関しては現在の規格で採用しているXMLのFast Infosetに代わるEXI (Efficient XML Interchange) 方式の話が紹介され,近いうちに,こちらを規格に採用したいとの話が紹介された.

また,H-Anim(ISO/IEC 19774)の現状報告が,Myeon Won Lee氏からあった.こちらは,NPは昨年承認されたので,目下Working Draft作成中とのことであった.人間(物体)のアニメーションが中心であり,現在は,モーションキャプチャのデータ交換形式の仕様策定中とのことであった.技術内容的には,LoA (Level of Articulation)を何レベルかでサポートすることで,複雑なジョイントでのアニメーションから,シンプルなアニメーションまでをサポートしているとの進捗状況がデモとともに紹介された.

一方,CADデータからX3Dへの変換に関してHyokwang Lee氏からPMI (Product Manufacturing Information)との関係で,ソリッドモデル(CSG, B-REP, feature-based)から,X3Dでサポートされているポリゴン集合あるいはNURBSに代表される曲面ベースへの変換方式が発表された.なお,ISO 10303で定義されているSTEP規格を意識しながら,複雑なアセンブリに関しては,全体をひとつのシーングラフで表現するA方式,階層の一番下の幾何データをexternal referencesとして表現するB方式,ならびに階層のすべてのノードを別々に表現するC方式の3種類が報告された.なお,Web3DコンソーシアムのDon Brutzman氏から,CADモデルをX3Dに変換したあと,ISO/ASTM 52915で規格化されている3Dプリンタフォーマットで更に表現可能なため,CADモデルを3Dプリンタで印刷することができることの報告があった.

4.2 WG 7(画像の処理と交換,登録)

Working Sessionには参加できなかったが,8月21日(水)午前10時30分からのPlenaryに日本からは,蔵田武志氏と青野の2名が参加し,以下のようなRecommendationが採択された.JTC 1 chairのKaren Higginbottom氏も参加された.まず,一昨年のBrussels会議で報告された画像処理のオープンソフトウェアであるOpenCVのStudy Groupに関する継続的な活動状況ならびに世界的な利用状況の報告が,コンビーナのY. Chung氏(Study Groupのラポータを兼任)からあった.特に,コンピュータビジョンのレファレンス・モデルComputer vision reference model(PIKS APIs,OpenVX 1.0 kernal (Khronos),OpenCV 2.4.9等を参考にしているとのこと)に関して,NWIPの候補として,コンビーナのChung氏が現在執筆中であるとの報告があった.

また,以下のリエーゾンを継続,または開始予定であることが報告された.具体的には,(1) ISO SCIT (Steering Committee on Imaging Technology),(2) TC 211/WG 6 (Geographic Information / Imaging and Gridded Data),(4) SC 29/WG 1 JPEG2000,(5) NATO Joint ISR (JCGISR)(BIIFをデータ送受信のフォーマットとして今後も継続的に利用するとの報告),(6) NITFS Technical Board, (7) OMG Robotics DTF (Image processing standards for intelligent robots),(8) SC 29, Coded Representation of MultiMedia/Hyper-Media(MM/HM) である.

4.3 WG 8(環境表現)

WG 8の会議は日本からは,蔵田武志氏と青野の2名が,8月21日(木)午前8:30から行われたPlenaryに参加した.JTC1 chairのKaren Higginbottom氏も参加された.コンビーナのJack Cogman(UK)氏とEditorのPaul Berner氏はWebEXで遠隔地から参加した.SEDRISからの代表であるFarid Mamaghani氏は,今回のSC 24総会全体のホスト役でもあった.

プロジェクトの進行状況に関しては,EDCS Language BindingのRevision to Edition 3のNWIPとCDは2013年に承認されてから1年以上経過しているが,DISが来年4月までに出る予定とのことである.ただし,予算がつくかどうかでスケジュールの変更がありうるとのことだった.一方,SRM (18026)に関しては,目下FPDAMが終わり,FDISを用意しているとのことであった.

4.4 WG 9(拡張現実世界の概念と参照モデル)

8月18日(月)の午前と午後,Working Groupセッションが行われた.コンビーナを除く参加者は,英国(1),米国(4), 中国(1), 韓国(6), 豪州(2), 日本(2)であった.ほとんどの時間は,コンビーナのキム(Gerald J. Kim)先生からの,Mixed and Augmented Reality参照モデル(Reference Model)(通称MAR RM)に関して,現在進行中のCD(Committee Draft)に関する説明に当てられ,その背景のレビューおよび新たに追加された機能のアップデート,SC 29との協調作業(JAhG = Joint Ad hoc Group)やコメントの質疑に当てられた.

また,コンビーナから,参照モデル(ISO/IEC 18521 Part 1)に追加された部分について説明があった.アーキテクチャに関しては3つのビューポイントが新たに紹介された.すなわち,Enterprise viewpoint, Computational viewpoint, ならびにInformation viewpointである.Enterprise viewpointでは,MAR環境下でアクター,その目的,役目と必要条件を記述する.Computational viewpointでは,MARシステムの大まかなインタープレイを記述する.Information viewpointでは主として入出力のセマンティックスを記述する.

その後,Physical sensors(ISO/IEC 18521 Part 2)の話がMeyong Lee氏からあり,続いてReal characters (Part 3)の話がKwan-Hee Yoo氏から,特にMAR RMの進捗に応じた変化が述べられた.その後,日本から参加した蔵田武志氏からMARのベンチマーキング(ISO/IEC 18520)の内容の概要のレビューと,日本から提案したベンチマークに関するNP投票で承認された結果のサマリが述べられた.

4.5 HoD (Head of Delegation)and Liaison Meeting

HoD/C会議は,8月19日(火)の午後と,21日(木)の午後に行われた.参加者は各国のHoD,各WGのコンビーナ,ならびに各種リエーゾン担当者,SC議長,ならびにSC 24セクレである.日本からは青野がHoDとして参加した.19日のHoD/C会議では,Drafting Committeeの任命と,議長であるKim氏から,この一年間のSC 24の活動を総括する報告の説明があった.

21日に行われた2回目のHoD/C 会議の内容は以下のようであった.Chairmanからは,WG 9からの2つの拡張現実に関する規格に関して,JTC 1会議のあるアブダビ会議までにCD文書を投票用に回覧したいとの意思表示があった.次に,Resolutions,特にProgramme of Workに関して,今後,投票から出版に至るまでSC 24の中で審議予定の案件の一覧表に関して,案件ごとの日程の確認が行われた.

4.6 SC 24 Plenary meeting

会議全体では28名程度の参加者で,昨年と同じ6か国(Korea, US, Australia, China, Japan, USA)のP-memberからの参加があったことが議長のキム氏から報告された.22日の午前9時半からSC 24 Plenaryが行われた.SC 24 Plenaryでは,オンラインWebEXでのJack Cogman氏もWG8のコンビーナとして参加した.SC 24 Plenaryでは,議長からの昨年のPerros-Guirec(仏)でのJTC1会議の報告,特にResolution 12でSC 24とSC 29の拡張現実・混合現実の規格化に関するJoint Ad-hoc Group (JAhG)が継続されるとの報告があった.その後,セクレからの報告,WGコンビーナからの報告,リエーゾンからの報告,SWGからのビジネスレポートの説明,ならびにNational Bodyからの報告があった.

日本からの提案である「NWIP 18520 混合・拡張現実のためのベンチマーク:幾何学的なレジストレーションとトラッキング法」はCD投票が来年7月,DISが2016年1月,FDISが2016年7月の予定で,今後進捗する予定であることが確認された.決議をまとめると以下のようである.

決議

決議1:EDCS(WG8), X3D符号化(WG6),H-Anim(WG6), MAR概念(WG9)等の文書に関するProgramme of Workを承認する.

決議2:以下の4つの文書をITTFに送付する.

ISO/IEC 19775-2 Ed.3 Extensible 3D (X3D) - Part 2: Scene access interface
ISO/IEC 19776-1 Ed.3 Extensible 3D (X3D) encodings - Part 1: XML
ISO/IEC 19776-2 Ed.3 Extensible 3D (X3D) encodings - Part 1: Classic VRML
ISO/IEC 19776-3 Ed.3 Extensible 3D (X3D) encodings - Part 1: Compressed binary

決議3:以下の文書に関してDAM/DIS文書が完成したのち,SC 24セクレからJTC1に文書を送付することとする.
ISO/IEC 18041-4 Ed.3 EDCS Language Binding revision

決議4:以下のプロジェクトをキャンセルし,その旨をSC 24セクレからJTC1に通知する.
ISO/IEC TR24788 Templates for the SEDRIS DRM

決議5:ISO/IEC 18026 Ed.3 SRM Revisionに関してSC 24は,NWIPを承認する.

決議6:SC 24は,WG6内の以下のNWIPを支援する.

a) 医療ワーキンググループによるアノテーション・コンポーネントと多層平面再構築
b) Projective Texture Mapping
c) 拡張地理空間コンポーネント
d) MARセンサーノード
e) EXI圧縮バイナリ符号化
f) X3Dにおける混合現実・拡張現実のための機能拡張
g) H-Animの動き動作定義と関連するX3Dバインディング
h) X3Dのクロマキー
i) H-Animにおける顔のアニメーション
j) X3Dの物理センサとインタフェース
k) CAD2X3D
l) BIM2X3D
m) H-Animの手と足のアニメーション
n) X3D3ビッグをデータ可視化
o) ISO/IEC 19777-1とISO/IEC 19777-2をISO/IEC 19775-2の第3版にあわせた改訂

決議7:SC 24は,WG8内の以下のNWIPを支援する.

ISO/IEC 18023-1 Ed.2 SEDRIS Part1 改訂
ISO/IEC 18023-3 Ed.2 SEDRIS Part3 改訂
ISO/IEC 18024-4 Ed.2 SEDRIS 言語結合改訂
ISO/IEC 18041-4 ed.3 EDCS言語結合改訂
ISO/IEC 18042-4 Ed.2 SRM言語結合改訂

決議8:SC 24は,WG8内の以下のNWIP候補技術を調査する.
• センサ・シミュレーションのための材質感表現法
• 動的な海モデルの表現法
• 手続き的に生成される幾何学の表現法
• 環境データの生成と表示のための様々で詳細なメタデータ情報の処理法
• ホログラフの生成と表示のためのディジタル・ホログラフィック・データコンテンツの表現とSTFコンテンツのレンダリングのためのSEDRIS内でのX3Dの利用可能性

決議9:SC 24は,WG9内の以下のNWIPを支援する.

a) トラッキングのための混合現実・拡張現実のレファレンス・ベンチマーク
b) モバイルARのための混合現実・拡張現実のレファレンス・モジュール
c) MARのためのディジタル・モーション・ホログラフィー
d) MARのためのオペレーション安全性

決議10: ISO/TC 211との協調作業をプロモートする.

決議11: ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11との協力関係を支援する.

決議12:ISO 19163 (地理情報 - 画像とグリッドデータのためのコンテンツコンポーネントと符号化規則)はISO/TC211で技術的な仕様が策定されているが,ISO/IEC 12087-5:1998 - Basic Image Interchange Format (BIIF) が中に組み込まれているため,今後もISO/TC211との協力関係を継続する.

決議13:TAG-14 (旧称SCIT(Steering Committee for Image Technology))の決議8-2013に従い,あと一年SC 24/WG7が,TAG-14関係の作業に参加する.

決議14:SC 24は,2つのISO標準が,本来SC 24がカバーすべき領域にあるにもかかわらず,昨年度の総会で気づき,その事実を委員で共有している.いずれもTC184のISO/PAS処理で標準化されたもので,ひとつはJT (ISO 14306:2012),もうひとつはCollada (ISO/PAS 17506:2012)である.さらに,昨年,ISO/TC261から3DプリンタのファイルフォーマットがISO/ASTM 52915:2013として標準化されたことに気づいた.そこでSC 24セクレから,なぜこういった仕様がSC 24にレビューを依頼することなく,他のTCで標準化されたかの経緯を発見するように要請する.さらにSC 24は,これらの標準に関してコメントを付加する機会が与えられるよう要求する.

決議15:SC 24は,WG6がX3Dの次期のバージョンでの組込を予定するX3D地理空間情報の拡張を,WG8,NGAオフィスGeomatics,OGC (Open Geospatial Consortium)等でレビューすることで,より有益なものになると考えている.

決議16:SC 24は,2013年のACM SIGGRAPGH Web3D 2013 シンポジウムにて,ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11がMPEG-4におけるX3Dに機能をリファクタする計画があることを知った.そこでSC 24セクレからSC 29/WG 11に,このような機能拡張ではX3Dのアーキテクチャとの互換性も重要となるため,互換性のある改良かどうかを要求するよう依頼している.

決議17:SC 24は,各仕様の技術的な貢献が含まれると承認されたのち,組み込まれた技術の貢献者の任命をオーソライズする.また,たとえば謝辞決議などの形で,SC 24の作業の貢献者を認識する手段を今後準備する.

決議18:SC 24は,X3D関連の規格がWeb3DコンソーシアムとISOとの共同同意に基づき,以下の標準が一般に自由にアクセスできることをオーソライズしている.

ISO/IEC 14772-1
ISO/IEC 14772-2
ISO/IEC 19774
ISO/IEC 19775-1
ISO/IEC 19775-2
ISO/IEC 19776-1
ISO/IEC 19776-2
ISO/IEC 19776-3
ISO/IEC 19777-1
ISO/IEC 19777-2

決議19:SC 24は,Chris Body氏をSC 24からJTC1/WG 7へのリエーゾンとして任命する.

決議20:SC 24は,ISO/IEC JTC1にSC 24にてコンピュータビジョンのレファレンス・モデルに関する標準活動を割り当てるよう要請する.

決議21:SC 24は,ISO MA/RAのWebサイトにSEDRIS DRM(ISO/IEC 18023-1)とSRM(ISO/IEC 18026)のエントリがあることを確認しているが,EDCS(18025)が欠如している.また,MR/RAのWebサイトの情報はISO/IEC SC 24のレジストリのWebサイトではなく,BSIのWebサイトの情報に基づいており,実際と異なる情報になっていることを確認している.そこで,SC 24のセクレからMA/RAに情報の食い違いを報告し,訂正を要求する.

決議22:2013年のJTC1会議の決議12に従い,SC 24は混合現実のSC 29/WG 11とのJAhGで,そのレファレンス・モデル (MAR RM)の標準化を推進するアドミニストレータの役割を担っていると考える.そこで,SC 29と協調しながらMAR RMのCD投票に向けた投票プロセスを開始する.

決議23:SC 24は,JTC 1に対して,MAR RM(ISO/IEC 18521-1)に対して,別の標準番号を発行するよう要求する.これは,これまで18521-1, 18521-2, 18521-3の3つのパートに分かれていたが,JAhGで協調するのはレファレンス・モデルだけであるためである.一方,18521-2と18521-3に関しても,それぞれ別の規格番号を発行してもらうように要請する.

決議24:SC 24は,Web3Dコンソーシアムとの協調作業を継続する.

決議25:SC 24は,W3Cコンソーシアムとの協調作業を継続する.

決議26:SC 24は,Open Geospatialコンソーシアムとの協調作業を継続する.

決議27:SC 24は,NATOとのJoint capability Group on ISR (JCGISR)ならびにNITFS Technical Board (NTB)との協調作業を継続する.

決議28:SC 24は,SEDRIS Organizationとの協調作業を継続する.

決議29:SC 24は,SISO (Simulation Interoperability Standards Organization) との協調作業を継続する.

決議30:SC 24は,Khronosグループへのリエーゾン委員としてHwanyong Lee氏を任命する.

決議31:SC 24は,WG 7でS. Chi氏が24N3222として発表したRobotic Interaction Service Frameworkに関してNWIPを支援する.

決議32:SC 24は,各種リエーゾン委員を任命する.

決議33:SC 24は,24N3613で記述した2014-2015のビジネスプランを承認する.

決議34:SC 24は,以下のコンビーナを承認する.

WG6 R.Puk 拡張現実のプレゼンテーションとデータ交換
WG7 Y.Chung 画像処理と交換
WG8 J. Cogman 環境表現
WG9 G.Kim 拡張現実の概念とレファレンスモデル

決議35:SC 24は,以下のラポータを承認する.

P. Berner SRM Registry
Y. Kwon (TBC) DRM Registry
F. Mamaghani EDCS Registry
J. Cogman SWG on Business Plan

決議36:SC 24は,30種類の文書に関するエディタを承認する.

5. 今後の開催予定

2015年は,8月24日(月)~の週にUKロンドンのBSIで行われる予定である.2016年はSC 24では初めて,中国の北京での開催が予定されている.

6. その他

昨年のシドニー会議よりも,ソーシャルイベント参加者(関係者の家族)を加えると出席者が多く,特にJTC 1 ChairのKaren Higginbottomさんが,ほとんどの会議とソーシャルイベントに参加され,終始,有益なコメントを発していた.

ページトップへ