情報処理学会 試行標準 IPSJ-TS 0013:2011


フォントリソース参照方式

Font Resource Referencing Scheme



序文

この規定は,社団法人情報処理学会 情報規格調査会の学会試行標準委員会作業グループ7(WG7)において2009年度までに行われた調査研究をもとに,特に重要と判断される技術情報をまとめ,学会試行標準(IPSJ-TS,以降では試行標準)として公表するものである。


1. 背景

フォントアプリケーションによるフォントの指定を行うとき,最も単純にはフォントリソース名による指定が採用されるが,フォントリソース名では書体の類似性や代替可能性を正しく判断できない。

フォントアプリケーションによるフォントの指定(選択・代替・置換)のために,フォント情報交換規格であるISO/IEC 9541(国内ではJIS X 41614163)は,フォント参照と呼ばれる属性集合を規定している。しかしISO/IEC 9541-2に用意されたフォント参照では,書体の記述は不十分である。例えば,ISO/IEC 9541-2のフォント参照は,指定したいフォント資源のインスタンスの属性を示すだけであって,そのフォント資源を選択した文書作成者の意図を表す属性は用意されていない。文書交換系でフォント参照の利用者が文書作成者の意図を知って適切なフォント資源を選択するには,ISO/IEC 9541のフォント参照の上位概念を扱う属性をも含むことが望まれる。ISO/IEC 9541のフォント参照においては,後の拡張性が考慮されているが,未だにそのフォント参照の拡張は議論されていない。

書体属性記述方式としてMonotypeによるPanose分類があるが,Panoseは欧文書体に特化しており,ラテンアルファベット以外の文字に関する書体記述には不十分である。

そこでISO/IEC 9541のフォント参照の拡張を目標として,既存のフォントの指定・選択・代替に求められるフォント属性を調査し,フォントリソースの参照方式の試行標準として公表することが,フォント業界およびフォント利用者から要求されることとなった。


2. 適用範囲

文書を作成・交換・表示する際に,そこで用いるフォントをリソース名だけでなく,そのフォントを表現する各種フォント属性をも用いて指定することによって,次の事例でのフォントリソースの特定を容易にすることが望まれる。

この試行標準は,これらの利用者要求に応えるフォント指定(選択・代替・置換)を可能にするためのフォント属性をフォントアーキテクチャの一部として規定し,その集合をフォント参照として規定する。フォント参照情報からフォントリソースを選択する際の利用者インタフェースも検討する。


3. 引用規定

次に示す規格は,この試行標準に引用されることによって,この規定の一部を構成する。

ISO/IEC 9541-1, Information technology - Font information interchange - Part 1: Architecture, 1991-09
 備考1 JIS X 4161 が,この国際規格に一致している。

ISO/IEC 9541-2, Information technology - Font information interchange - Part 2: Interchange format, 1991-09
 備考2 JIS X 4162 が,この国際規格に一致している。

ISO/IEC 9541-3, Information technology - Font information interchange - Part 3: Glyph shape representation, 1994-05
 備考3 JIS X 4163 が,この国際規格に一致している。

日本語フォント実装規約, 1994年度 日本事務機械工業会・実装規約小委員会報告書,1995-03

ISO/IEC 29500-1, Information technology -- Document description and processing languages -- Office Open XML File Formats -- Part 1: Fundamentals and Markup Language Reference, 2011-08

TTC_TECH_01 [TrueType Font] Font Attributes Table for Japanese Kanji (1st edition), TrueType Consortium Japan, 1996-04


4. 定義

4.1 外接く(矩)形 (bounding box, glyph property)

フォントに含まれる各グリフについて個別に定義されるく(矩)形で,グリフに外接しているく(矩)形。和文フォントにこの用語が使われることは少ない。

4.2 最大外接く(矩)形 (bounding box, font property)

一つのフォント資源に対して一つ定義されるく(矩)形で,すべての外接く(矩)形を含む最小のく(矩)形。

4.3 仮想ボディ (extended body)

最大外接矩形を隙間無く並べるとグリフが相互に接触する。和文フォントでは,これを避けるために最大外接く(矩)形の周囲に空間を残したく(矩)形を想定してデザインする。このく(矩)形を仮想ボディという。

備考4 仮想ボディを密着させてグリフを並べた組み方をベタ組という。

備考5 仮想ボディは,一つのフォント資源に対して一つ定義される。

備考6 罫線素片などの記号類の一部は,隣接するグリフが接触するようにデザインされる。

備考7 最大外接く(矩)形,外接く(矩)形および仮想ボディの関係を図1に示す。


図1 最大外接く(矩)形,外接く(矩)形および仮想ボディの関係

4.4 包絡近似図形 (approximated envelope)

グリフの包絡形状を近似する図形。

備考8 例えば“上”,“土”は“△”で近似し,“今”,“中”は“◇”で近似する。

備考9 書体デザインの分類に際して,グリフのデザイン傾向を評価するためにこの図形を参照する。欧文書体のデザイン分類ではアセンダ,ディセンダ,xハイトなどの図形的特徴を参照できるが,和文書体ではそれらに相当する概念がない。

備考10 包絡近似図形の例を図2に示す。



図2 包絡近似図形の例

4.5 計測文字 (representative character)

書体属性の値を規定する対象となる文字。

4.6 指標文字 (index character)

書体見本帳において書体の特徴を示す限られた数の文字。見本帳では数値化できない特徴をも見せる必要があるため,計測文字とは異なる基準で選ばれる。


5. フォント属性

ISO/IEC 9541は書体デザインを示す属性として,デザイン名,ファミリ名などを用意している。ISO/IEC 9541-1のAnnex Aの書体デザイン分類は,デザインだけを分類基準としているわけではなく,歴史的経緯も分類基準に含まれる。この試行標準では,図形的特徴に基づく書体デザインを示すフォント属性を検討し,フォント代替に際しての参照情報とする。

フォントの混植に際しては,必ずしも図形的特徴に基づく書体選択だけが行われるわけではなく,少ないほうの言語部分を幾分強調して,浮き立たせることを狙うこともある。しかし概ね図形的特徴に基づく書体選択が適用されると考えて差し支えない。

5.1 ISO/IEC 9541の属性

ISO/IEC 9541-1が規定するフォント属性は,当時のDigital EquipmentのJim Flowerのドラフトに基づく。それに日本,US(Xerox, IBM)のコメントを反映したものであり,特に日本のフォントに関しては書体を表わす属性が不十分である。

備考11 Jim FlowerがISO/IEC 9541-1のドラフトを作成する以前のISO/IEC DIS 9541は,7部構成をとり,フォント属性は,DIS 9541-5, Font Attributes and Character Model (Editor: Ronald Pellar) に既定されていた。

5.2 書体属性

5.2においては,計測文字を用いてその値を測定し,数値化できる書体属性を示す。この試行標準で数値化していない属性(重心,腰(漢字揃え線),ふところ(閉領域字幅比)),および数値化が不可能な属性(起筆・収筆,脈絡,エレメント,線質)については解説に示す。

次の書体属性はISO/IEC 9541の中で言及されている(字面率に直接対応するISO/IEC 9541の書体属性はないが,avrlen-height × avrlen-width / (VUNITS x HUNITS)に相当する。)が,和文フォントに関するそれらの属性値については明確な記述がない。そこでこの試行標準では,和文フォントに関する書体属性を明らかにすると共に,附属書Cにおいてそれらの属性の測定方法を示す。

a) ウェイト (weight)

デザインに依存しないウェイトとするために縦画だけを測定の対象とし,計測文字の外接矩形の高さに対する縦画の幅の比をウェイトとする。

b) 黒み率 (blackness)

高さVUNITSおよび幅HUNITSで規定される面積(仮想ボディの面積)に対する,レンダリングして塗りつぶされた領域の面積(blackened area)の比であり,次式でその値を定義する。

黒み率 = blackened area x 1000 / ( HUNITS x VUNITS )
ISO/IEC 9541に従って,計測文字として"米"と"の"を使う。カタカナについては今後の課題とする。

c) 字面率

仮想ボディを規定するVUNITS,HUNITSに対する計測文字の最大外接く(矩)形の大きさであって,次式で表わされる。

字面率 = (計測文字の最大外接く(矩)形の面積) x 1000 / (VUNITS x HUNITS)
次の3種の字面率を用いることもある。
横字面率 = (計測文字の最大外接く(矩)形の横幅) x 1000 / HUNITS
縦字面率 = (計測文字の最大外接く(矩)形の高さ) x 1000 / VUNITS
面字面率 = (計測文字の最大外接く(矩)形の面積) x 1000 / (VUNITS x HUNITS)
それぞれ,横組み時の詰まり度合の評価および字送り調整,縦組み時の詰まり度合の評価および字送り調整,並びに黒み率との対比に用いる。

5.2.1 書体の特徴を示す属性および属性集合

(かなを含む)漢字書体と(漢字を含まない)かな書体の二つの側面から書体デザインの図形的な特徴を捉えるための議論を行う。書体の特徴を何によって捉えるかという議論は古くからあり,これらの文献調査と実効性の調査との結果を示す。

5.2.2 既存の書体分類の調査

特定のベンダの製品サンプルを越える書体分類は多くない。最近の例である小宮山博史による分類と祖父江慎による分類とを比較する。小宮山分類は装飾書体の詳細な分類に力点を置き,祖父江分類は本文書体の詳細な分類に力点を置く。そのため分類の粒度はかなり異なっている。しかし,近年の和文基本書体となっている明朝体,ゴシック,丸ゴシックの分類に関しては,表現は異なるものの,大まかな分類として金属活字からデジタルフォントへの流れの中で

という傾向に注目し,金属活字・写植・デジタルフォントの大まかに3段階に分類している共通点が見られる。ただし,写植とデジタルフォントとの境界については若干のずれがある。そこで,この試行標準においてもこれらの分類を参考にする。

これらの既存の分類ではあまり強調されていないが,デジタルフォント以降の本文書体のデザイン傾向の流れへの反発として, 金属活字の覆刻に基く系統が存在する。これらを金属活字の系統に分類するべきか,さらに新しい流れとして独立に分類するべきかは判断が難しい。

5.2.3 漢字書体におけるかな・漢字のデザインの関連性

現在の和文文書はその大半を平仮名が占めている。平仮名はその線画の少なさのため,デザインの違いが漢字よりも目につき易いと考えられる。しかし,かな書体を基本として和文書体を分類してよいかどうかを考えるとき,かな・漢字を両方とも含む書体については,かなのデザイン傾向と漢字のデザイン傾向とがどの程度符合しているかが問題となる。かなと漢字のデザイン傾向に関連がなければ,個別に分類しなければならないからである。

そこで,かな・漢字の両方を含むフォントを,かなに注目してかな書体として分類した結果と,漢字書体として分類した結果の両方を示している祖父江分類で調査した。その結果,かな・漢字とも歴史的な変化に注目した分類になっており,区分の取り方が一致している。

5.2.4 メトリクの時代的な変遷

フォントデザインの時代的な変化としてふところを広く取る傾向が複数の書体研究者に指摘されている。そこで,字形の詳細な図形的特徴に注目する前に,一般的な特徴としてメトリクの変化について調査し,その結果を図3に示す。縦軸は仮想ボディの高さに対する割合,横軸は仮想ボディの幅に対する割合であり,いずれも1が仮想ボディいっぱいを意味する。同一書体でウェイトが異なるものがある場合には,色を変えて図中に示す。

リョービ築地のかなメトリク
リョービ築地のかなメトリク

リョービ本明朝のかなメトリク
リョービ本明朝のかなメトリク

リョービ平成明朝のかなメトリク
リョービ平成明朝のかなメトリク

ダイナラブ華康明朝のかなメトリク
ダイナラブ華康明朝のかなメトリク

図3 メトリクの変化

調査の結果,メトリク最大値に関しては目立った変化がないが,

の時代順に,金属活字時代では扁平または長体がかったデザインであったグリフが正方形に近付き,全体としてメトリクの分散が少なくなってきている。これらを(かな全体ではなく)少数のひらがなを元に評価できるかは,今後の課題である。

例外として,平成明朝より後にデザインされたダイナラブの華康明朝は,金属活字のように大きな分散をもつが,その分布は金属活字とは微妙に異る。この差を直接に評価すべきか,または字形の詳細な違いに踏み込んで分類すべきかは,検討を必要とする。

5.3 書体分類および分類ノード

ISO/IEC 9541-1のAnnex Aの書体デザイン分類はデザインだけを分類基準としているわけではなく,分類基準に歴史的経緯を含む。純粋なデザインの上位概念としての"印象"に基づく分類もあり得る。分類ノードの名前は書体名ではない。しかし書体名も書体分類のノード名も固有名詞であり得る。これらの状況把握に基づき,書体分類と分類ノードを検討して,図4に書体分類を示し,図5に対応書体を示す。

a) この書体分類は,ベースとして日本事務機械工業会・実装規約小委員会が開発した日本語フォント実装規約の分類を用い,ISO/IEC 9541の分類との整合性も考慮している。

b) 日本語フォント実装規約の分類に倣って,分類は3階層としている。そのため,とくにディスプレイタイプの分類ではデザインの特徴を分類上で細分化していないが,今後は階層を増やす必要があると思われる。

c) 用途が明確な書体,たとえば新聞用書体,映画字幕書体は,分類上区分している。しかし,OCR書体,ステンシル書体については,単に同種のものであればよいという判定はできず,個々の書体特性に依存するものと考え,分類を分けていない。

フォントベンダによっては学参書体を別分類とし,書体名称に用いているが,"学参用"を特化する弊害を避けて,ここでは無視している。

d) 明朝体,角ゴシック体,丸ゴシック体に関して,クラシックとモダンとの区別を新設している。スタンダードは規定しない。何がスタンダードなのかという基準を決められないからである。オールド,ニューという呼称も採用しない。オールドという表現は多用されていて違和感は少ないが,ニューはこの区分表現に馴染まない。

ここでは,アナログ時代の様式を踏襲しているものをクラシックとし,デジタル時代に入ってから出現した様式をモダンに区分しているが,その中間的特徴を備えたものもあり,明確な基準は設定できていない。

ディスプレイタイプの分類においては,アナログ時代から存在するデザインと,デジタルフォント全盛になってから生まれたデザインとがあるが,これらはクラシックとモダンとに区別しない。それは,ユーザ要求がないことによる。

e) アナログ時代の書体を覆刻した明朝体(漢字)は,クラシックである。原則として背勢処理がなされている明朝体は,クラシックに分類する。

明朝体の定義はさまざまであるが,ここでは三角形のウロコをもつことを必す(須)としている。カタオカデザインワークスの丸明オールドは三角形のウロコをもたず,モトヤのアポロもウロコをもたないという特徴によって,ユービックのユニスクェアは角ウロコをもたないという特徴によって,それぞれ明朝体には分類しない。一方,リョービイマジクスのナウ-Mは明朝体に分類している。

モトヤ明朝はごくわずかな背勢処理がなされているストロークもあるが,実用文字サイズでの視認性を配慮し,モダンに分類している。

f) 明朝体(かな)については,アナログ時代の書体を覆刻したもの,および古い書家の作品をアレンジしたものをクラシックに分類する。デジタル時代になってから誕生した書体であっても,縦組適性重視の思想をもつものはクラシックとする。横組適性重視の書体はすべてモダンとしている。

リョービイマジクスの良寛,小町,行成などは,明朝体およびゴシック体と混植される前提で設計された字形デザインであるが,あくまでも形状特徴から筆字体クラシックに分類している。

g) 角ゴシック体(漢字)についても,背勢処理がなされ,原則として墨溜りをもつゴシック体はクラシックに分類する。ふところの設計など,全体のイメージを活字時代のゴシック体に近似させる手法は,現代には馴染まないため,背勢処理以外の要素によってクラシックとモダンとを峻別することはしていない。

大日本スクリーンのヒラギノ角ゴシックは,背勢処理はなされているが墨溜りをもたないため,モダンに分類する。

h) 丸ゴシック体(漢字)については,アナログ時代のふところの狭い書体はほとんど見向きがされず,ふところの広いデザインが主流になっているため,アナログ時代のもの以外をすべてモダンとした。したがって,分類例では写研の丸ゴシック体だけがクラシックである。

カタオカデザインワークスの丸丸ゴシックは,コーナ円の径が極めて大きく,特異な印象をもつ書体になっているため,丸ゴシック体には分類していない。

i) ゴシック体のバリエーションとも看做せる書体の中に,右ハライが"先細り"にデザインされているものがある。モリサワのフォーク,フォントワークスのぶどうがその例である。同様に明朝体のバリエーションとも看做せるダイナコムウェアの麗雅宋などである。これらはゴシック系,明朝系とはいえないため,ディスプレイ系書体に分類する。

j) ディスプレイ書体において,特にサンセリフPOPは,きわめて多様なデザインの書体が割り当てられる。商用キャッチコピー用書体は,目立つこと,新規性が高いことなどが求められるために,分類は大規模にならざるを得ない。

したがって,本来であれば固有分類対象になるアウトライン,シャドーなども,すべてこの分類の中に入ることになる。これらを組み合せたアウトライン・シャドーなどの書体も出現するからである。若干異なるが,モリサワのカクミンは明朝体と角ゴシック体の中間書体と位置づけられるが,この分類ではセリフPOPに分類している。

k) 独立かなにおいて,分類上はサンセリフを設けたが,現時点では該当書体はない。

1.0.0 伝統デントウ書体ショタイ(漢字のあるもの)漢字カンジのあるもの) 4.0.0 Serifs
  1.1.0 明朝体ミンチョウタイ   4.12.0 Mincho
    1.1.1 クラシック 4.12.1 Old Style
    1.1.2 モダン 4.12.2 New Style
    1.1.3 新聞シンブン明朝ミンチョウ  
  1.2.0 カクゴシックタイ   5.0.0 San Serifs
    1.2.1 クラシック  
    1.2.2 モダン  
    1.2.3 新聞シンブンゴシック  
  1.3.0 マルゴシックタイ   5.5.0 Geomesric
    1.3.1 クラシック  
    1.3.2 モダン  
  1.4.0 ヒツ書体ショタイ   6.3.0 Soft Brush
    1.4.1 楷書体カイショタイ 6.3.1 Kaisho
    1.4.2 教科書キョウカショタイ 6.3.2 Kyokasho
    1.4.3 行書体ギョウショタイ 6.3.3 Gyosho
    1.4.4 草書体ソウショタイ 6.3.4 Sosho
    1.4.5 隷書体レイショタイ 6.3.5 Miscellaneous
    1.4.6 篆書体テンショタイ 6.3.5 Miscellaneous
    1.4.7 硬筆コウヒツ手書テガフウ  
  1.5.0 宋朝ソウチョウタイ   6.5.0 Soucho
  1.6.0 インタイ    
2.0.0 ディスプレイ書体(漢字のあるもの)書体ショタイ(漢字のあるもの) 7.0.0 Ornamentals
  2.1.0 江戸エド文字モジ    
  2.2.0 トウセン    
    2.2.1 セリフPOP  
    2.2.2 ゴシックタイケイ  
    2.2.3 サンセリフPOP  
    2.2.4 硬筆コウヒツ  
  2.3.0 トウセン    
    2.3.1 明朝体ミンチョウタイケイ  
    2.3.2 硬筆コウヒツ手書テガフウ  
  2.4.0 字幕ジマク書体ショタイ    
3.0.0 かな書体ショタイ(独立)独立ドクリツ 6.4.0 Kana
  3.1.0 伝統デントウ書体ショタイ    
    3.1.1 フデ字体ジタイクラシック 6.4.1 Old Style
    3.1.2 筆字体モダン 6.4.2 New Style
    3.1.3 明朝体ミンチョウタイクラシック  
    3.1.4 明朝体ミンチョウタイモダン  
    3.1.5 ゴシックタイクラシック 6.4.1 Old Style
    3.1.6 ゴシックタイモダン 6.4.2 New Style
  3.2.0 トウセン    
    3.2.1 セリフ  
    3.2.2 サンセリフ  
    3.2.3 硬筆コウヒツ  
  3.3.0 トウセン    

図4 書体分類

1.0.0 伝統デントウ書体ショタイ(漢字のあるもの)漢字カンジのあるもの)  
  1.1.0 明朝体ミンチョウタイ    
    1.1.1 クラシック 秀英シュウエイ明朝ミンチョウダイ日本ニホン印刷インサツ
        凸版トッパン明朝ミンチョウ凸版トッパン印刷インサツ
        精興社セイコウシャ書体ショタイ精興社セイコウシャ
        石井イシイナカ明朝ミンチョウ写研シャケン
        ホンラン明朝ミンチョウ写研シャケン
        リュウミン(モリサワ)
        A1明朝ミンチョウ(モリサワ)
        ジョミン(モリサワ)
        TBクラシック明朝ミンチョウ(タイプバンク)
        イワタ明朝体ミンチョウタイオールド(イワタ)
        ヒラギノ明朝ミンチョウ大日本ダイニホンスクリーン)
        ユウ明朝体ミンチョウタイ(字游工房)
        筑紫チクシ明朝ミンチョウ(フォントワークス)
        マティス(フォントワークス)
        明朝体ミンチョウタイ(ニィス)
    1.1.2 モダン モトヤ明朝ミンチョウ
        イワタ明朝体ミンチョウタイ(イワタ)
        見出ミダしミンMA31(モリサワ)
        ヒカリアサ(モリサワ)
        ファイン(リョービイマジクス)
        ナウ-M(リョービイマジクス)
        TB明朝ミンチョウ(タイプバンク)
        JTCウィンM(ニィス)
        小塚コヅカ明朝ミンチョウ(アドビシステムズ)
        平成ヘイセイ明朝体ミンチョウタイ
    1.1.3 新聞シンブン明朝ミンチョウ イワタ新聞シンブン明朝体ミンチョウタイPro(イワタ)
  1.2.0 カクゴシックタイ    
    1.2.1 クラシック 凸版トッパンゴシック(凸版トッパン印刷インサツ
        石井イシイゴシック(写研シャケン
        ゴシックBBB(モリサワ)
        フトゴB-101(モリサワ)
        モトヤゴシック(モトヤ)
        ゴシックタイオールド(イワタ)
        リョービゴシック(リョービイマジクス)
    1.2.2 モダン ゴナ(写研シャケン
        シンゴ(モリサワ)
        ネオツデイ(モリサワ)
        ゴシックMB101(モリサワ)
        シンゴシックタイB(イワタ)
        シーダ(モトヤ)
        ナウ-G(リョービイマジクス)
        ヒラギノカクゴシック(大日本ダイニホンスクリーン)
        ニューロダン(フォントワークス)
        ロダンPro(フォントワークス)
        筑紫チクシゴシック(フォントワークス)
        JTCウィンS(ニィス)
        小塚コヅカゴシックPro(アドビシステムズ)
        平成ヘイセイカクゴシックタイ
    1.2.3 新聞シンブンゴシック イワタ新聞シンブンゴシックタイPro(イワタ)
        毎日マイニチ新聞シンブンゴシック(モリサワ)
  1.3.0 マルゴシックタイ    
    1.3.1 クラシック 石井イシイナカマルゴシックタイ写研シャケン
    1.3.2 モダン ナール(写研シャケン
        シンマルゴ(モリサワ)
        じゅん(モリサワ)
        モトヤマルベリ(モトヤ)
        シリウス(リョービイマジクス)
        ヒラギノマルゴシック(大日本ダイニホンスクリーン)
        JTCウィンR1(ニィス)
        ホソマルゴシックタイ(ダイナコムウェア)
        TBマルゴシック(タイプバンク)
        平成ヘイセイマルゴシック
  1.4.0 ヒツ書体ショタイ    
    1.4.1 楷書体カイショタイ コウランホソ楷書カイショ写研シャケン
        正楷セイカイショCB1(モリサワ)
        正楷セイカイショ(モトヤ)
        正楷セイカイ書体ショタイ(イワタ)
        弘道軒清朝シンチョウタイ(イワタ)
        グレコStd(フォントワークス)
        DFカオ楷書カイショ(ダイナコムウェア)
        DF文徽ブンキメイカラダ(ダイナコムウェア)
        DF徽宗宮キソウミヤ(ダイナコムウェア)
        DF痩金体ソウキンタイ(ダイナコムウェア)
        DF北魏ホクギ楷書カイショ(ダイナコムウェア)
    1.4.2 教科書キョウカショタイ 石井イシイナカ教科書キョウカショタイ写研シャケン
        イワタ教科書キョウカショタイ(イワタ)
        モトヤ教科書キョウカショ(モトヤ)
        ユトリロPro(フォントワークス)
    1.4.3 行書体ギョウショタイ 岩蔭イワカゲ行書ギョウショ写研シャケン
        ヒラギノ行書ギョウショ(大日本スクリーン)
        江川エガワ活版カッパン三号サンゴウ行書ギョウショ(大日本スクリーン)
        ショウミナミ行書体ギョウショタイ(ダイナコムウェア)
        JTC曲水キョクスイMYU(ニィス)
    1.4.4 草書体ソウショタイ DF草書ソウショ霜月シモツキ(ダイナコムウェア)
        JTCタンサイ草書ソウショノウ」(ニィス)
    1.4.5 隷書体レイショタイ ラン隷書レイショタイ写研シャケン
        イワタ隷書体レイショタイStd(イワタ)
        ハナ牡丹ボタン-DB(リョービイマジクス)
        DFカクヤスシ(ダイナコムウェア)
    1.4.6 篆書体テンショタイ DFシンテンカラダ(ダイナコムウェア)
        JTCタンサイ篆書テンショ(ニィス)
    1.4.7 硬筆コウヒツ手書テガフウ 日立ヒタチつれづれぐさStd R(タイプバンク)
        DF金文キンブンカラダ(ダイナコムウェア)
        クレーPro(フォントワークス)
  1.5.0 宋朝ソウチョウタイ   イワタ宋朝ソウチョウタイ(イワタ)
        ハナ胡蝶コチョウ(リョービイマジクス)
        DFシン宋朝ソウチョウタイ(ダイナコムウェア)
  1.6.0 インタイ   タンイン写研シャケン
        モトヤインタイ(モトヤ)
        コウインタイ(ダイナコムウェア)
        JTCインタイウタ」(ニィス)
2.0.0 ディスプレイ書体(漢字のあるもの)書体ショタイ(漢字のあるもの) スズ江戸エド写研シャケン
  2.1.0 江戸エド文字モジ   織田オダ勘亭流カンテイリュウ写研シャケン
        勘亭流カンテイリュウ(モリサワ)
        勘亭流カンテイリュウユウ工房コウボウ
        DF寄席ヨセ文字モジ(ダイナコムウェア)
        いなひげ(写研シャケン
        古今コキンヒゲStd EB(ダイナコムウェア)
        DFカゴ文字モジ(ダイナコムウェア)
  2.2.0 トウセン    
    2.2.1 セリフPOP カクミン(モリサワ)
        DF優雅ユウガソウ(ダイナコムウェア)
        DF麗雅レイカソウ(ダイナコムウェア)
    2.2.2 ゴシックタイケイ ゴナO(写研シャケン
        ナールSH(写研シャケン
        スーボ(写研シャケン
        DFひびゴシックタイ(ダイナコムウェア)
        マルマルゴシック(カタオカデザインワークス)
    2.2.3 サンセリフPOP 石井イシイファンテール(写研シャケン
        ナミン(写研シャケン
        ミンカール(写研シャケン
        フォーク(モリサワ)
        DFブラッシュRD(ダイナコムウェア)
        DFブラッシュSQ(ダイナコムウェア)
        DF POP 2 タイ(ダイナコムウェア)
        DFソウゲイタイ(ダイナコムウェア)
        キアロ(フォントワークス)
        ロゴJr(視覚シカクデザイン研究所ケンキュウショ
        メガマル視覚シカクデザイン研究所ケンキュウショ
    2.2.4 硬筆コウヒツ手書テガフウ ナカフリー(写研シャケン
        DFクラフトユウ(ダイナコムウェア)
        DFてがきマコト(ダイナコムウェア)
        DFペン字体ジタイ(ダイナコムウェア)
  2.3.0 トウセン    
    2.3.1 明朝体ミンチョウタイケイ アポロ(モトヤ)
        アドミーン(視覚デザイン研究所)
        マルミンオールド(カタオカデザインワークス)
    2.3.2 硬筆コウヒツ手書テガフウ ナカフリー(写研シャケン
        はるひ学園ガクエン(モリサワ)
         
  2.4.0 字幕ジマク書体ショタイ   映画エイガ字幕ジマク書体ショタイ(キネマ・フォント・ラボ)
3.0.0 かな書体ショタイ(独立)独立ドクリツ  
  3.1.0 伝統デントウ書体ショタイ    
    3.1.1 フデ字体ジタイクラシック 良寛リョウカン(リョービイマジクス)
        小町コマチ(リョービイマジクス)
        行成ユキナリ(リョービイマジクス)
        弘道ヒロミチノキ(リョービイマジクス)
    3.1.2 筆字体モダン iroha-31 nire(カタオカデザインワークス)
    3.1.3 明朝体ミンチョウタイクラシック 秀英シュウエイ(モリサワ)
        リュウミンオールドがな(モリサワ)
        アンチックAN(モリサワ)
        築地ツキジ(リョービイマジクス)
        築地ツキジタイ仮名カナ大日本ダイニホンスクリーン)
        ユウ明朝体ミンチョウタイかな(ユウ工房コウボウ
    3.1.4 明朝体ミンチョウタイモダン りょうDisplay(アドビシステムズ)
        コミクス(ニィス)
        マルミンYoshino(カタオカデザインワークス)
        ことのは(朗文堂ロウブンドウ
    3.1.5 ゴシック体クラシック TB築地ツキジ(タイプバンク)
    3.1.6 ゴシックタイモダン ネオツデイがな(モリサワ)
        りょうゴシック(アドビシステムズ)
  3.2.0 トウセン    
    3.2.1 セリフ  
    3.2.2 サンセリフ サンクスR(ニィス)
        ロゴアール(アドビシステムズ)
    3.2.3 手書テガフウ ゼンゴN(モリサワ)
        ひまわり(フォントワークス)
        マルミンFuji(カタオカデザインワークス)
  3.3.0 トウセン   DFクラフトワラベ(ダイナコムウェア)

図5 対応書体


6. フォント参照

金属活字での組版においては活字ごとに文字集合が異なり,一旦印刷したものを拡大・縮小する技術が十分に発達していないため, 大きい文字サイズで組んでおき,これを縮小して印刷するような方式は一般的でなかった。そのため,各文字サイズでの書体設計は それぞれ異なる用途を念頭に置いていた。

このような制限下では,現在の環境では独立に考慮できる

などの要素がしばしば競合した。

明朝活字字形一覧で調査された各号数の文字数を見ると,五号・四号活字以外では文字数が少なく,本文書体では文字集合,それ以外では文字サイズが重視されていたと考えられる。三号以上の見出し用活字の字形と四号以下の本文用活字の字形とを比べると,必ずしも本文用活字の字形は,見出し用の活字字形を包含していない。例えば,見出し等に用いられる大サイズ活字はウェイトを重くし,本文・註釈用の小サイズ活字にない装飾を加える(本文用三号以上の活字では"支","肢"に筆置きを付加したり,"妃"の旁を"己"ではなく"已"にするなど)ことも多かった。

金属活字の字母作成にベントン彫刻機が導入されると,同一の原図から複数の文字サイズの活字が作成できるようになった。印刷技術の発達によって,より小さい文字サイズでの本文印刷が主流になると,全体的にウェイトが軽くなるなどの変化はあったが,本文用活字に比べ,サイズの大きい活字はウェイトを重くするなどの,サイズごとに異なる用途を念頭に置いたデザインの習慣は維持された。

スケーラブルフォントが用いられる現在では,それぞれのフォントのデザインが想定している文字サイズが明確にされない場合が多い。同一字体を複数のウェイトでデザインしてフォントファミリを構成するという欧文フォントの考え方が和文フォントにも導入され,装飾とウェイトとを独立とする考え方が広まった。

その結果,本来はウェイトの重い見出し用活字に付加された装飾を軽いウェイトの本文用書体にまで導入したもの,本文用活字を拡大して縦画を太くしただけの見出し用書体などが発生した。金属活字では文字集合,文字サイズといった大まかな指定以上の選択肢がなかったが,上述の過程で発生した書体を分類・指定するにはこれだけでは不十分である。

現在の和文書体の指定で重要な要素に,不均一な字送り(プロポーショナル)のフォントがある。

電算写真植字によって字間を任意の距離に設定できるようになると,活版印刷では難しかったツメ組みなどの字送りが不均一な組み方が発生した。字送りが不均一な組み方は,本来は大きな見出しなどに際して本文の組み方と同程度の文字間スペースでは広すぎるように見えることを解消するため,版下作成の際にごく一部を手作業で組んでいたものであったが,欧文のDTPソフトウェアの日本語対応が進み,ページレイアウト自体をワードプロセッサなどで済ませるようなワークフローが広まった結果,本文でも使われるようになった。

製版・インキ・紙質の性能が向上し,本文の不均一な字送りを扱うソフトウェアが整備されたことで,字送りをフォントの側で固定 するよりも,組版の処理系が設定する場合が増えた。その結果,金属活字においては活字の金属棒部分の正方サイズと,文字をデザインする領域の正方サイズとが区別されていたものが,サイズ対比が小さくなったり,極端な場合には全く区別しないデザインが発生している。

プロポーショナル和文フォントは,漢字の字送りは一定なまま,カナ・記号類をプロポーショナルにしたものが多い。このようなプロポーショナルな和文フォントで,欧文の組み方に倣った1ページ2段組両端揃えの文書を組んだ場合,ポイントサイズが同一の 固定幅フォントで組み直すとページ溢れが発生する可能性が非常に高い。

6.1 文書の分類

ここでは文書を次のとおりに分類する。

6.2 フォント利用形態の分類

電子化された文書の利用形態として,大まかに次の3分類を考える。

a) フォーム前提: ページ中にテキストを書き込む領域を指定し,その内部の細部(文字サイズ,行幅など)は決めない。
ポイントサイズ,行送りの範囲を指定するにとどめるのが望ましい

b) レイアウト主導: ページ中のテキスト配置,ページ数などを厳密に定める。
ポイントサイズ,最大外接く(矩)形,行送りなどを指定することが望ましい。

c) 装置主導: 表示能力に制限があるため,レイアウトは維持できないが, 文書のセマンティクスを反映して表示する。
セマンティクスを反映させるため,見出し,本文などの文書の中の位置付けに関する属性で指定することが望ましい。

6.3 OOXMLにおけるフォントリストを用いたフォント特定

ISO/IEC 29500で標準化されたOOXML,またはその原型となったWord XML (Microsoft Office 2003)では,フォント指定のために,次のパラメタを書き込む。